毎週金曜日に放送されている「ザワつく!金曜日」、2025年8月22日は特殊詐欺SPが放送されます。
カンボジアで日本人詐欺集団29人が逮捕された事件もあり、年々詐欺被害は急速に拡大していますよね。
詐欺の中でも、「国際ロマンス詐欺」という言葉を耳にする機会も増えています。
SNSやマッチングアプリを通じて甘い言葉をささやき、相手を信じ込ませて金銭をだまし取る手口です。
今回取り上げるのは、レディコミ界で活躍してきた女性漫画家・井出智香恵さんが実際に被害に遭った事件。
相手はなんと、ハリウッド俳優「マーク・ラファロ」を名乗る人物でした。
最終的に奪われた金額は約7500万円。その驚くべき手口と経緯を見ていきましょう。
7500万円奪われた女性漫画家ロマンス詐欺の概要
井出さんが詐欺グループと接触したのは2018年。
SNS上で「マーク・ラファロ」を名乗る人物から突然メッセージが届いたことがきっかけでした。
そのやりとりは3年以上にわたり続き、結果として約7500万円を失うことになります。
被害期間は2018年から2021年にかけてのことです。
詐欺の手口は非常に緻密でした。
- SNSでの接触:Facebookなどを通じて本人になりすましたアカウントから連絡
- 信用の獲得:ディープフェイク映像を使い、まるで本人が彼女の漫画を手にしているかのようなビデオチャットを演出
- 感情の操作:「離婚調停中」「再婚したい」など同情と共感を誘うシナリオ
- 心理的な儀式:「血の誓い」と称して互いに指先から血を出す約束を行い、強い絆を演出
- 金銭要求:「交通事故で入院」「手術費用が必要」「税関でのトラブル」など、もっともらしい理由を重ねて送金を迫る
- 物的証拠の偽装:黒く塗られた紙を特殊な液体で“ドル紙幣”に変えるデモンストレーションを見せ、信頼をさらに強める
これらの流れによって井出さんは、最初は小額から、やがて数百万円単位の送金を繰り返すようになっていきました。
初めは数十万円単位のお金を送っていたものの、相手の要求はエスカレート。
3年余りのやりとりの中で、最終的に7500万円にまで被害額は膨れ上がります。
詐欺のカギとなったのは「心理的な縛り」でした。
血の誓いや甘い言葉、そして映像を通じた本人確認の演出。
これらによって「間違いなく本人だ」と信じ込まされていたのです。
7500万円奪われた女性漫画家ロマンス詐欺発覚のきっかけとその後
井出さんが真実に気づいたのは、娘さんの指摘がきっかけでした。
警察にも相談しましたが、国際的な詐欺であるため捜査は難航し、十分な対応は得られなかったといいます。
それでも諦めず自ら調査を進め、日本人女性が関与していた可能性まで突き止めました。
まさに「執念の追跡」だったと語られています。
その後、彼女は自らの体験を漫画化し、『毒の恋 7500万円を奪われた「実録・国際ロマンス詐欺」』(双葉社)として出版。
同じような被害を広げないため、世間に警鐘を鳴らしています。
この事件から見えてくるのは、詐欺の手口がいかに高度化しているかという点です。
- ディープフェイクなどの技術で本人になりすます
- 甘い言葉と心理的な儀式で信頼を築く
- 少額から始まり、徐々に金額を膨らませる
被害者の年齢や立場は関係ありません。誰もが「自分は大丈夫」と思っている隙を突かれるのです。
まとめ
井出智香恵さんのケースは、国際ロマンス詐欺がいかに巧妙で恐ろしいものかを示す典型例です。
SNSやネットでの出会いが当たり前になった今だからこそ、「こんなことが本当にあるの?」と驚くような事例を知っておくことが最大の防御になります。
彼女が身をもって経験し、そして作品として世に残したこの事件は、私たちに「甘い言葉の裏に潜む危険性」を改めて教えてくれるのではないでしょうか。